糖尿病だと歯がボロボロになるって本当?5つの原因よくある誤解を解説
糖尿病になると、唾液の分泌量減少や歯周病リスクの増加などによって、歯がボロボロになりやすいです。
「糖尿病と歯には関係性があるって聞いたけど本当?」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、糖尿病になると歯がボロボロになりやすい5つの原因や「糖尿病になると歯が溶ける」などのよくある誤解についてまとめました。
歯医者の目線から、本音で解説をします。
記事を最後までチェックすれば、糖尿病と歯の関連性について、ひと通り理解できますよ。
糖尿病になると歯がボロボロになりやすい5つの原因
以下5つの理由から、糖尿病になると歯がボロボロになりやすいとされています。
- 唾液の分泌量が減るから
- 糖尿病と歯周病には強い関連性があるから
- 症状によっては虫歯の治療ができないから
- ストレスで口腔ケアが後回しになるから
- 使えない麻酔薬が出てくるから
それぞれ詳しく見てみましょう。
唾液の分泌量が減るから
虫歯菌は口内の糖を分解して酸性になり、歯を溶かします。これが、虫歯ができる大まかな原理です。
つまり口内を酸性から中性にすれば、虫歯になりにくくなります。そして唾液は、アルカリ性の成分で酸性になった口内を中和する役割を持ちます。
要するに唾液の分泌量が多ければ多いほど、虫歯になりにくいと言って良いでしょう。
糖尿病になると、唾液の分泌量が減り、虫歯になるリスクが上がります。また糖尿病患者には「糖」を多く含む甘いものが好きな方が多いです。
唾液の分泌量が少ない状態で甘いものをたくさん食べると、口内が常に酸性の状態となり、最終的には歯がボロボロになってしまいます。
糖尿病と歯周病には強い関連性があるから
歯周病は、歯と歯茎の間に細菌が侵入して歯肉や骨を溶かし、最終的には歯が抜けてしまう病気です。
55歳以上の、歯が抜ける1番の原因となっています。
糖尿病になると、歯周病のリスクが上がります。理由は以下のとおりです。
- 糖尿病になると感染症に弱くなるから(歯周病は感染症)
- 糖尿病になると唾液の分泌量が減り歯石が溜まりやすくなるから(歯石は歯周病の原因)
- 糖尿病になると血糖コントロールが難しくなるから(血糖コントロールが不良だと免疫力が低下して感染症にかかりやすくなる)
また、歯周病も糖尿病の悪化に関与します。糖尿病と歯周病は、負の相関関係にあると言えるでしょう。
関連記事:60代で歯がボロボロの人の割合は?抜ける原因や歯の治療法を紹介
症状によっては虫歯の治療ができないから
糖尿病が進行すると、傷口が治りにくくなります。また糖尿病になると、感染症にかかりやすくなります。つまり、細菌が血管内に入り込み、菌血症になる可能性が高まるということです。
以上から、糖尿病の症状によっては、出血を伴う歯科治療が行えません。特に抜歯はできない可能性が高いです。
抜歯ができないだけでも、治療の選択肢は大きく狭まります。
そして虫歯は自然治癒することはありません。放置し続ける限り、どんどん悪化していきます。
糖尿病が原因で適切な歯科治療が受けられないと、歯がボロボロになっていきます。
ストレスで口腔ケアが後回しになるから
糖尿病の治療は、患者にとって大きなストレスとなります。
まず食事制限で好きなものを自由に食べられません。また、定期的に運動をするように求められます。
薬を飲んだり、インスリンを打ったりもしなければなりません。生活習慣を見直すようにも言われるでしょう。
日々ストレスを感じながらこれらの治療を行っていると、口腔ケアはどうしても後回しになりがちです。
食事制限によって、甘いものを食べる量や頻度は下がるかもしれません。しかし歯磨きをサボってしまうと虫歯や歯周病は進行し、歯がボロボロになってしまいます。
またストレスを感じると、唾液の分泌量が低下します。こういった面でも、糖尿病の治療によるストレスは、歯に悪影響を与えてしまうのです。
使えない麻酔薬が出てくるから
歯医者で最も使用頻度が高い麻酔薬が、キシロカインです。
キシロカインは、糖尿病患者への使用が禁止されています。キシロカインにはアドレナリンが含まれており、その作用によって血糖値が上昇する可能性があるからです。
よって麻酔を使った治療が行えず、虫歯が放置されて歯がボロボロになる原因になります。
他の麻酔薬を使用するという選択肢もありますが、キシロカインより効き目が弱いものも多いです。その場合、痛みに耐えながら治療を受けることとなります。
「効き目が弱い」と分かると、多くの方が治療を避けがちになるでしょう。
糖尿病になってしまった場合は、麻酔が使えなくなる前に治療を受けて歯を綺麗にして、その後はオーラルケアを怠らないことが大切です。
糖尿病になると歯が溶けるって本当?
厳密には、糖尿病になっても歯は溶けません。
たしかに、糖尿病になると虫歯や歯周病になるリスクが上がります。これは前述のとおり、唾液の分泌量が減ったり適切な治療を受けられなくなったりすることが原因です。
虫歯や歯周病が進行すると、歯がボロボロになっていきます。見方によっては、歯が溶けているように見えるかもしれません。
しかし、糖尿病患者全員の歯がボロボロになるわけではありません。歯がボロボロな方が多いのは事実ですが、きちんとケアや治療をして口内を綺麗に保っている方も多くいます。
糖尿病患者は健常者と比べて歯がない人の割合が高い
以下は、歯の本数をHbA1c別に分けたグラフと表です。
HbA1cとは、血中に糖化ヘモグロビンがどのくらいの割合で存在するかを示す指標です。数値が6.5を超えると糖尿病の疑いがあります。また6.0未満が正常な状態です。
上記左のグラフを見てみると、HbA1cが高ければ高いほど、歯の本数は少なくなっていることが分かります。
以上のデータからも「糖尿病になると歯がボロボロになりやすい」が正しいと分かります。
「歯がボロボロ」の改善が糖尿病の予防にもつながる
この記事を読んでいる方のなかには、すでに糖尿病になっている方もいれば、糖尿病予備軍の方もいるでしょう。
もしまだ糖尿病になっていないのであれば「歯がボロボロ」の改善が予防につながります。理由は以下の2つです。
- 食生活の改善は歯と糖尿病の両方にとってプラスになるから
- 歯医者で適切な治療を受けることで歯周病を防げるから
1つずつ詳しく解説します。
食生活の改善は歯と糖尿病の両方にとってプラスになる
食生活が原因で歯がボロボロになっている場合、いくら治療をしても、生活習慣が変わらなければ意味がありません。
食生活を改善しない状態での治療は、空いているバケツに水を入れ続けているようなものです。
甘いものを控えたり、間食を減らしたりすることが「歯がボロボロ」の改善につながります。そしてこういった食生活の改善は、糖尿病の予防にもつながります。
ダイエットのように厳しく食事を制限する必要はありません。まずは少しだけでも良いので、食生活の改善を意識してみましょう。
糖尿病になってしまうと、さらにきつい食事制限が待っています。
歯医者で適切な治療を受けることで歯周病を防げる
糖尿病と歯周病は、負の相関関係にあるとお伝えしました。つまり歯周病を防げば、糖尿病になる可能性を減らせます。すでに糖尿病になっている方でも、悪化の可能性を減らせます。
歯周病は、歯垢が溜まって歯茎に炎症が起き、歯周ポケットができて、そこに歯周病菌が侵入することで感染します。
つまり、歯周病を防ぐためには溜まった歯垢を綺麗にするための日々の歯磨きが欠かせません。磨き残しがあるといけないので、歯医者で歯磨き指導を受けると良いでしょう。
また、歯垢を放っておくと石灰化して歯石になります。歯石は歯磨きでは取り除けないので、定期検診を受けて、取ってもらうことが大切です。
日々の歯磨きと定期検診によって、歯周病は十分予防できます。そして、歯周病を予防することで糖尿病になる可能性を下げることもできます。
「歯がボロボロ」の治療はトラストデンタルクリニックにお任せください
トラストデンタルクリニックは、東京都港区浜松町の歯科医院です。
「ボロボロの歯」の治療を得意としており、実績も豊富です。
▲当院での治療例
治療例については、治療内容やかかった費用とともに、以下にて紹介しています。
当院では通院回数や身体的負担を減らすための短期集中治療を提供しています。よって「今のうちにまとめて歯の治療をしておきたい」と考えている方にもおすすめです。
また当院では、麻酔の選択肢を複数用意しています。よって「糖尿病だと麻酔が打てないって聞いたけど」という方も、ぜひご相談ください。
当院では、問診で状況をお伺いし、ご納得いただいた場合にのみ治療を致します。急な治療は行いませんので、ご安心ください。
まとめ
糖尿病になると歯がボロボロになりやすい5つの原因や「糖尿病になると歯が溶ける」などのよくある誤解について解説しました。
たしかに糖尿病になると、唾液量の減少や歯周病リスクの増加などによって、歯がボロボロになりやすいです。
また糖尿病が悪化すると、受けられる歯科治療に制限がでてきます。よってできるだけ早い段階で歯の治療を受け、その後は口腔ケアを怠らないことが大切です。
「ボロボロの歯」の治療を得意とするトラストデンタルクリニックでは、通院回数や身体的負担を減らすための短期集中治療も実施しています。
「短期間で歯がボロボロを治したい」と考える方にもおすすめです。