出産後に歯がボロボロになる5つの原因とよくある勘違いを紹介
妊娠中や出産後は、女性ホルモンや育児の影響で、歯がボロボロになりやすいです。「妊娠前はこんなことなかったんですけど…」と歯医者でおっしゃる方もいます。
なぜ歯がボロボロになりやすいのかを知れば、それに対して対策を立てられます。
本記事では、出産後に歯がボロボロになる5つの原因や、赤ちゃんに「歯がボロボロ」は移るのかなどについてまとめました。
歯医者の目線から、本音で解説をします。
記事を最後までチェックすれば、妊娠中や出産後の歯に関する悩みがひと通り解決しますよ。
出産後に歯がボロボロになる5つの原因
出産後に歯がボロボロになる主な原因は、以下の5つです。
- 妊娠による食生活の変化
- 妊娠性歯肉炎
- 歯磨きや定期検診が後回しになる
- 唾液量の減少
- 免疫力の低下
それぞれ詳しく見てみましょう。
妊娠による食生活の変化
妊娠をすると、食生活が以下のように変化します。
- 酸っぱいものを好むようになる
- 甘いものを好むようになる
- 間食が多くなる
口の中が酸性になると、酸によって歯が溶かされ、最終的にはボロボロになります。
酸っぱいものは酸性です。また、虫歯菌は甘いものに含まれる糖を分解して酸性になります。
よって酸っぱいものや甘いものを好むようになると、歯がボロボロになりやすいです。
また酸性に傾いた口内は、歯磨きやうがい等によってリセットされます。しかし間食が多いと、虫歯菌の栄養源となる糖が常に口内にある状態となり、歯がボロボロになりやすいです。
妊娠による食生活の変化は仕方がありません。しかし、何かを食べたあとはすぐにうがいをするといった形で、ケアしてあげることが重要です。
妊娠性歯肉炎
歯肉炎とは、歯茎が炎症を起こした状態であり、軽度の歯周病のことです。
妊娠中は女性ホルモン(プロゲステロンやエストロゲンなど)の分泌が盛んになります。そしてプロゲステロンやエストロゲンは、虫歯菌や歯周病菌の栄養源です。
よって虫歯や歯周病になりやすくなり、出産後も放置をしていると歯がボロボロになってしまいます。
特に歯周病になると歯が抜け落ちてしまい、インプラントの治療もできなくなるので要注意です。
プロゲステロンやエストロゲンの分泌は、妊娠出産のために欠かせません。妊娠性歯肉炎を予防するには、妊娠前以上にオーラルケアを心がけることが大切です。
歯磨きや定期検診が後回しになる
妊娠中や出産後は、体調の変化や赤ちゃんのお世話で忙しく、自分のことはつい後回しになりがちです。
普段は朝晩の2回行っていた歯磨きが日によっては1回になってしまったり、3ヶ月に1度行っていた定期検診に行けなくなったりします。
まず歯磨きの回数が減ると、口内が酸性の状態が続くため、虫歯になりやすいです。また定期検診に行かないと、虫歯の発見が遅れて進行してしまったり、歯石が溜まって虫歯や歯周病のリスクが高まったりします。
こういったケア不足が、妊娠出産後に歯がボロボロになりやすくなる1つの原因です。
妊娠出産前よりも、オーラルケアに時間を割けなくなるのは仕方がありません。しかしそんな中でも、歯磨きや定期検診の時間をうまく捻出してみましょう。
唾液量の減少
唾液はアルカリ性です。酸性になった口内を中和して、虫歯を防ぐ役割があります。
つまり歯がボロボロになるのを防ぐには、唾液の分泌量が多いに越したことはありません。
睡眠前に歯磨きをしないと虫歯になりやすいと言われるのも、睡眠中は唾液の分泌量が減って口内が乾燥し、酸性の環境が助長されるからです。
女性はそもそも、男性と比較して唾液の分泌量が少なく、歯がボロボロになりやすいとされています。
そして妊娠中は、女性ホルモンの影響や妊娠による不安や緊張によって、さらに唾液の分泌量が少なくなりがちです。
水分補給は、唾液の分泌を促します。妊娠中は、定期的に水分補給をして口の中を潤してあげましょう。
関連記事:30代以上女性の歯がボロボロになりやすい3つの理由!お金がない場合の対処法も
免疫力の低下
体に異物が入ると、免疫が働いて排除しようとします。例えば、インフルエンザになると熱が出るのは、免疫がウイルスを排除するために戦っているからです。
そしてお腹の中の赤ちゃんは、お母さんの体にとって異物です。しかしインフルエンザのように排除するわけにはいかないので、免疫寛容という作用が起きます。
免疫寛容とは、体内の異物を排除せず受け入れて共存することです。免疫力を低下させることで、体内の異物に対して免疫が働かなくなります。
そして免疫は、赤ちゃんだけでなく虫歯菌や歯周病菌に対しても働きづらくなります。以上から、妊娠して免疫力が低下すると、歯がボロボロになりやすくなるのです。
免疫力の低下もどうしようもないことなので、日々のオーラルケアを意識するしかありません。
「出産ではカルシウムを子どもに取られて歯がボロボロになる」は間違い
胎児は、へその緒を通して母体から栄養や酸素を受け取ります。そしてカルシウムは、歯の形成に欠かせない栄養素です。
昔は「胎児にカルシウムを取られるから歯がボロボロになる」と言われていました。
しかしこれは、科学的な根拠がない都市伝説です。
たしかに出産後は、歯がボロボロになりやすいです。しかし原因は、カルシウムを取られるからではありません。
前の項目で解説した5つの原因によって、妊娠出産後は歯がボロボロになりやすくなります。
「産後は歯がもろくなる」も間違い
「産後は歯がもろくなる」も厳密には間違いです。
虫歯のなりやすさは、以下4つの要素で決まります。
- 歯質
- 虫歯菌
- 糖
- 時間
「長時間、口内に糖が残った状態だと虫歯になりやすい」のような形です。歯質が弱くて虫歯菌が多いと、さらに虫歯になりやすくなります。
そして出産で悪化するのは、上記4要素のうち糖と時間だけです。
たしかに産後は虫歯になりやすいです。しかし、歯がもろくなるわけではありません。
「歯がボロボロ」は赤ちゃんに移るって本当?
よく「親の歯がボロボロだと子の歯もボロボロになりやすい」と言われますし、実際にそういったケースも見られますが、「歯がボロボロ」が親から子に遺伝することはありません。
ここでは、赤ちゃんや子どもの虫歯について解説します。
赤ちゃんが虫歯菌に感染する主な原因
生まれたばかりの赤ちゃんには、虫歯菌は存在しません。
虫歯菌は、成長する過程で周りの人から感染します。特に1歳半〜2歳7ヶ月頃が虫歯菌に感染しやすい時期です。
1歳半〜2歳7ヶ月頃は、乳歯が生えだして、生え揃うまでの期間です。虫歯菌は歯の表面でしか成長できないので、歯が生えていない時期に感染することはありません。
また乳歯は柔らかいので、虫歯になりやすく、進行も早いという特徴があります。
赤ちゃんが虫歯菌に感染する主な原因は以下のとおりです。
- 口移し
- キス
- 箸などの使い回し
- 熱い食べ物を冷ますための息の吹きかけ
赤ちゃんに愛情を注ぎたい気持ちは分かりますが、キスはほっぺにしたり、食器を使いまわさないように気をつけたりしましょう。
親の歯がボロボロだと子も虫歯になりやすい
「歯がボロボロ」が直接親から子に遺伝することはありません。
しかし歯並びや唾液量・歯質が遺伝をして、その結果子の歯もボロボロになりやすいケースはあります。
また、親と子は一緒に生活をするので、食生活や歯磨き習慣、歯医者に行く習慣なども同じになりやすいです。
親の歯がボロボロということは、甘いものばかり食べていたり、歯磨きをしていなかったり、歯医者に何年も行っていなかったりするでしょう。
一緒に生活をすることでその習慣が受け継がれ、子どもの歯もボロボロになってしまうのです。
子どもの歯を綺麗に保ちたいのであれば、親自身が歯に対する意識を変えたり、知識をつけたりすることが大切です。
関連記事:歯がボロボロは遺伝だから仕方ない?歯が生まれつき弱い人の特徴を紹介
「出産後の歯がボロボロ」はトラストデンタルクリニックにお任せください
トラストデンタルクリニックは、東京都港区浜松町の歯科医院です。
「ボロボロの歯」の治療を得意としており、治療実績も豊富です。
▲当院での治療例
治療例については、治療内容やかかった費用とともに、以下にて紹介しています。
当院では通院回数や身体的負担を減らすための短期集中治療を提供しています。
妊娠前にボロボロの歯をなんとかしたいと考えている方や、出産後に妊娠期間中にボロボロになってしまった歯をまとめて治療したいと考えている方におすすめです。
当院では、問診で状況をお伺いし、ご納得いただいた場合にのみ治療を致します。急な治療は行いませんので、ご安心ください。
また当院では、治療時の痛みを抑えたい方のために麻酔の選択肢を複数用意しています。「歯の治療を受けたいが痛みが怖くて一歩踏み出せない」とお悩みの方もご安心ください。
まとめ
出産後に歯がボロボロになる5つの原因や、赤ちゃんに「歯がボロボロ」は移るのかなどについて解説しました。
さまざまな要因から、出産後に歯がボロボロになりやすいのは事実です。しかしオーラルケアや定期検診によって「歯のボロボロになりやすさ」を抑えることはできます。
また赤ちゃんに「歯がボロボロ」は移りません。しかし虫歯菌の感染によって、赤ちゃんも虫歯になるので要注意です。
虫歯は自然治癒はしません。放置する限り、どんどん進行していきます。「歯がボロボロ」で悩んでいる方は、出産前・後に関わらず、早めに治療をしましょう。